設備の更新工事を大規模修繕と一体化し、工事費用を圧縮
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タワーマンションでは設備の修繕も課題
実は、一般的なマンションとタワーマンションでは適用される法律が違います。タワーマンションでは防災・発電・消火設備は、オフィスビルと同等のレベルのものを設置することが法律で義務付けられているのです。タワーマンションが抱える設備のうち特に防災設備の修繕・更新では、既存機器との互換性の問題から設備一式全部を更新することになりがちです。約20年毎に高額な設備を一式全部更新していては、膨大なコストがかかってしまいます。
限りある予算をどこにどう使って資産価値を守っていくか
弊社が関わった過去のケースで、大規模修繕の詳細な仕様書作成もいよいよ終盤というとき、想定外の事態が判明したことがありました。大規模修繕とは別に、防災設備の全面更新工事を行う計画が進行していたのです。前述の通り、防災設備を一式全部更新するとなると膨大なコストがかかります。このときの予定費用も約2億円と高額でした。これを何とか削減できないものか。限りある予算を防災設備の更新工事に使って、果たしてマンションの資産価値は守られるのか。
設備の一式全部更新をやめて、先送りできる部分を検証
多くの設備が導入されたタワーマンションでは、長期的には設備の修繕費が建築関係修繕費の2倍から3倍にもなります。その設備の修繕費を少しでも抑えようと、先に述べた弊社が関わった大規模修繕を行ったタワーマンションの場合は、まず設備の一式全部更新をやめて、更新を先送りできる部分がないか建築設備士に検証を依頼しました。さらに設備更新工事と大規模修繕工事を一体化すれば、施工会社のスケールメリットにより費用を圧縮できるのではないかという提案を理事会に対して行ったのです。
設備の更新工事を大規模修繕と一体化し費用を圧縮
防災設備の全面更新を一部更新に、また設備の更新工事と大規模修繕工事を一体化し工事費用を圧縮しようという提案が、最終的にマンションの理事会に承認され、工事費用は結果的に約半分になったといいます。施工会社の決定にあたっては、建築にも設備にも強いゼネコン系としてのシミズ・ビルライフケアの実績が評価され、選定されました。また一般的な板状マンションとは異なるタワーマンションの大規模修繕工事に、清水建設グループで培われた同社の技術力・設計力が活かされたことは言うまでもありません。