日本初のタワーマンション大規模修繕を施工
日本初の超高層タワーマンションの大規模修繕
竣工当時、日本一高いマンションとして話題を呼んだ「エルザタワー55」の大規模修繕が2年の工期を経て2017年2月に完了しました。
日本初の超高層タワーに修繕委員会が設置されたのは築10年の時でしたが、185mの高さゆえに「元施工会社しか工事できないのではないか」「工事周期が国交省の基準に当てはまるのか」などの続出する課題を解決し、650世帯の合意形成を取るため7年の歳月をかけ、17年目にようやく大規模修繕が始まりました。
複雑で美しい外観フォルムのために工事はさらに難度アップ
一般のマンションと違い、タワーマンションにはタワーならではの難しさがあります。
第一回目の大規模修繕工事が、外壁のタイル補修や塗装、防水やシーリング工事が中心なのはタワーマンションも同様ですが、大きく異なるのは仮設工事の方法です。エルザタワー55での工事の難度をより高めたのは185mの高さと、低層・中層・高層で複雑に変化する美しい外観フォルムでした。そのため、いかに仮設工事を行うかが、工期や工費に関わる重要な要因となります。
1~6階部分は通常の枠組み足場、7~50階部分は建設にマストと呼ばれるレールを取り付け幅広の足場を移動させるリフトクライマー(移動昇降式足場)、51~55階部分は窓ふき用に常設されたゴンドラを階層別に併用する方法を採用しました。
さらに、吹き抜けになっている建物内部の工事はゴンドラを使用し、凹凸のある建物の四隅部分は小さな(シングルマストの)リフトクライマー利用し、インナーテラス(三角形が出っ張っている部分)に合わせてリフトクライマーの形状を改造するなど、さまざまな工夫を凝らし作業を行いました。
安全面にも配慮し、風速10mで工事を中止する対策をとっていたため、1年目は風の影響で外側の工事が思うようにはかどりませんでしたが、その分、内側廊下の工事を進めるなどして、結果的には予定通りに工期2年で修繕は完了しました。
タワーマンションと今後の大規模修繕
タワーマンションの大規模修繕では、住居者が住んでいる状態での工事になりますので、住居者の車両と工事車両の動線を切り離す、子ども向けの説明会を行うなど、安心・安全に配慮した提案が必要不可欠です。また、さまざまな要望に応えるうえで施工者同士のチームワークも重要になります。
90年代後半から急増したタワーマンションが、今後次々に大規模修繕の時期を迎えます。エルザタワー55の大規模修繕は貴重な経験であり、他社の施工業者においてもこれからの重要な指針になるでしょう。